デザイン等の感覚的な制作物は、個々の好き嫌いやセンスで決められることが多いため、統一されたルールが無ければ自然とチグハグになってしまいます。そして、チグハグなビジュアルから私たちが受ける印象は、一貫性の欠如や信頼感の無さに繋がります。
そのため、送り手側が発信する情報は、文言だけでなくビジュアル面でもしっかりと定義付けをして、統一してゆくことが重要になってきます。
ある会社では、会社名の書体や色・デザインパターンが統一されておらず、同じ会社なのに全く違った印象を与える名刺を数種類作成していました。
これは、統一されたルールが無く、それぞれの部署の担当者が、それぞれの好き嫌いやセンスで名刺を作成していたために起こったことです。
そこへ持ってきて、様々な部署から出されているパンフレットやカタログ・リーフレットはもっと歴然としており、それらの表紙を並べてみると、同じ会社なのにチグハグなデザインパターンであることがよくあります。
受け手側は、統一感の無いチグハグなデザインの制作物をみると、その一貫性の無さに、会社のルーズさや社員の行動の統制の無さを感じ取り、人によってはその会社の品格を疑ってしまうこともあり得るのです。
それ程見た目を気にする必要性があるのかと思われるかもしれませんが、私たち人間の五感による情報伝達では、65〜80%を視覚によるものが占めるといわれています。この事からも、会社のイメージを改善して好感度を上げたいと思ったら、視覚的な要素を変え統一性を持たせることが一番インパクトがあると言えるでしょう。
送り手側の、伝えたい価値や想いを効果的に知ってもらい、統一したイメージを持ってもらうためには、「見られ方」にも一貫性を持たなくてはいけません。
また、名刺だけでなく、各種パンフやカタログ・販促物など全ての制作物も、その都度ゼロからデザインし制作すると考えたら、莫大なコストと手間が掛かります。
しかし、ビジュアルの発信に統一されたルールを持つことができれば、そのコストと手間は大幅に削減され、さらに、送り手側の伝えたい価値観やマインドを効果的に知ってもらい、しっかりとした好感度アップが期待できるのです。
参考文献:
佐藤圭一(2016)『選ばれ続ける必然 誰でもできる「ブランディング」のはじめ方』 講談社.