ロゴやシンボルマークは、受け手を送り手側に導く視覚的な道具であり、いわば「顔」といえます。
送り手側の「名前」「特徴」「強み」「マインド」等を結びつける働きがあり、受け手一人ひとりの頭の中に、イメージや情報、体験等をすこしづつ蓄積させ、やがてブランドとして浸透させる効果があります。
そのため、受け手側はロゴを見たり会社の名前を聞いた時に、これまでの体験や情報からその会社の持つ特徴やイメージ、もしくは評判などを自然と頭の中に思い浮かべます。
ロゴやシンボルマークは、受け手側にブランドの「価値やイメージを喚起させる」重要な役割を持っているのです。
ですから、一度ブランドとして定着させた会社のイメージとロゴのつながりは、「事業拡大のため会社の提供価値を大きく変える必要がある」「いままでの会社のイメージを一新したい」等の「あるべき姿を見直す時」という明確な理由がない限り、安易に変えるべきではありません。
長い時間をかけて、お客様の頭の中に蓄積された会社のイメージとロゴの結びつきを、一気に失うことに成りかねないからです。
2010年に、デザイン的に残念な要素を盛り込んだ新しいロゴを突如発表したGAPは、多数のユーザーから多大なるバッシングを受け、わずか一週間ほどで元のクラシックなイメージのロゴに戻すという失態を演じてしまいました。
会社が思っている以上に、ユーザーはGAPのロゴに愛着を持っていたわけです。
必要がなければ無理にロゴをリニューアルする理由はありません。にも関わらず、安易な思いつきや具体的な戦略を立てずにロゴを変更すると、大きな失敗に繋がる可能性もあります。
ロゴやシンボルマークを変える時、送り手側は相当な覚悟でブランドのあるべき姿をしっかりと見直し、揺るがない意志を持って実行しなければなりません。