8月も半ばを過ぎ、時折吹く風が心地よい夜。
縁側に腰掛けると、どこからかヒグラシの声が聞こえてくる。風鈴の音も涼しげだ。
「お父さん、花火しようよ！」
双子の息子たちが、色違いの浴衣を着て、目を輝かせている。
「よし、じゃあ線香花火にしようか」
息子たちは慣れた手つきで花火に火をつけ、小さな火花を散らす。
パチパチと静かな音が響く中、長男がウクレレを手に取った。まだ拙いながらも、一生懸命に奏でる音色。
浴衣の裾を揺らしながら、線香花火に見入る息子たち。その横顔は、日中の慌ただしさが嘘のように穏やかだ。
小さな火花と、ウクレレの優しい音色。この瞬間、私は心から幸せを感じていた。
日々の子育ては大変なことも多いけれど、こんな瞬間があるから頑張れる。
息子たちの成長を願う、夏の夜のひととき。